人間中心設計（HCD）｜ホームページ制作 用語集

人間中心設計（HCD）とは？

人間中心設計（HCD：Human-Centered Design）は、製品やサービスを設計する際に、「使う人」を中心に考えるアプローチです。誰が、どのように使うのかを最優先にしながら設計を進めることで、使いやすく、満足度の高い体験を提供できます。

たとえば、ウェブサイトやアプリを作るときに、開発者の都合だけでなく、実際にアプリを使うユーザーの行動や感情、使い方を観察して、その情報をもとに設計を改善していくようなプロセスが人間中心設計です。

なぜ人間中心設計が重要なのか

どんなに高機能な製品やサービスでも、使いにくければ人に選ばれません。逆に、直感的に操作できて、ストレスなく使えるものは、それだけで価値が高まります。

人間中心設計を取り入れることで、ユーザーの視点に立ったものづくりが可能になります。結果として、ユーザー満足度の向上や、継続利用、口コミによる拡散など、ビジネスにも良い影響を与えます。

人間中心設計のプロセス

人間中心設計は、大きく分けて次のようなプロセスで進みます。

1. ユーザー理解
   誰が使うのか、その人たちは何を求めているのかを調査します。インタビューやアンケート、観察などが使われます。
2. ニーズの明確化
   ユーザーの課題や本当の目的を見つけ出します。ここでは、見た目に現れない「潜在的なニーズ」を探ることが重要です。
3. アイデアの創出と設計
   ユーザーのニーズをもとに、どんな形で提供すれば最も効果的かを考え、設計に落とし込みます。
4. プロトタイプとテスト
   試作品（プロトタイプ）を作り、実際にユーザーに使ってもらいながら改善点を洗い出します。
5. 反復的な改善
   得られたフィードバックをもとに設計を繰り返し改善していきます。

人間中心設計とUXの関係

「UX（ユーザーエクスペリエンス）」という言葉を聞いたことがある方も多いかもしれません。UXとは、ユーザーが製品やサービスを使う中で得られる体験全体を指します。

人間中心設計は、このUXをより良いものにするための基本的な考え方です。つまり、HCDをしっかりと取り入れることで、UXも自然と向上するのです。

人間中心設計を取り入れるメリット

人間中心設計を導入することで、企業や開発者には多くの利点があります。

ユーザー満足度の向上

設計の初期段階からユーザーの声を取り入れることで、「こんな機能がほしかった」「使いやすい」と感じてもらえる製品・サービスになります。これはユーザー満足度を大きく引き上げます。

クレームや問い合わせの削減

使いやすさを重視することで、ユーザーが迷わず操作できるようになります。その結果、サポートへの問い合わせが減り、運用コストの削減にもつながります。

開発の効率化

最初からユーザー視点で設計するため、後からの大幅な修正が減ります。これは開発コストと時間の節約にもなります。

ウェブサイト制作と人間中心設計

ウェブサイト制作においても、人間中心設計はとても重要です。

見た目が美しいだけでなく、ユーザーが「どこをクリックすればいいか」「次に何をすればいいか」がすぐにわかる構造になっていることが理想です。そうした設計ができていないと、ユーザーはすぐにサイトを離れてしまい、成果につながりません。

特に、企業サイトやサービス紹介ページでは、訪問者が「求めている情報にスムーズにたどり着ける」ことが重要です。そのために、ユーザーの動きや心理を考え抜いた設計が求められます。

人間中心設計を実践するためのポイント

最後に、実際の制作や開発でHCDを取り入れるために意識すべきポイントをご紹介します。

• ユーザーの声を集める仕組みを作ること
  フォーム、アンケート、ヒアリングなど、ユーザーからフィードバックを得る仕組みを整えましょう。
• 実際の利用シーンを想定すること
  ユーザーがどこで、どんな環境で使うかを想定すると、設計の具体性が高まります。
• プロトタイプを早めに作ること
  設計が固まりすぎる前に、試作品を使ってユーザーテストを行いましょう。
• 感情にも注目すること
  単に「使える」だけでなく、「気持ちよく使える」「楽しい」と感じられることも大切です。

人間中心設計（HCD）　まとめ

人間中心設計（HCD）は、ユーザーの立場に立って製品やサービスを設計する手法です。UXを高め、使いやすく、満足度の高い体験を提供するための基本となる考え方です。

ウェブサイト制作でも、訪問者が迷わず目的を達成できるような設計を行うには、この人間中心設計の視点が欠かせません。ユーザーを中心に据えることで、成果の出るウェブサイトづくりにつながります。