2025.06.06
2021.07.21
ホームページ制作の依頼でやってはいけないこと【企画準備・会社選定編】(ホームページ制作会社がズバリ教えます)
- 東京のホームページ制作会社|ブラボーウェブ
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INDEX
はじめに:失敗しないために、まず知っておくべき「落とし穴」
ホームページ制作というと、「会社選定後は、全て任せれば終わり」と思われがちです。しかし、実際には、初期の判断ミスが後々のトラブルや成果の出ない原因になることが少なくありません。
とくに企業にとって、ホームページは集客や信頼獲得に直結する重要なビジネスツールです。にもかかわらず、「よく考えずに進めてしまった」「安いからという理由だけで選んだ」など、“やってはいけないこと”を知らずに動いてしまい、失敗してしまうケースがよくあります。
今回はホームページ制作において特に多い“やってはいけないこと”を、企画準備・会社選定の段階に分けて解説します。ありがちな落とし穴を事前に知り、回避することで、時間も費用もムダにしない制作が実現できます。
ホームページ制作やリニューアルを考えている方はもちろん、「一度失敗したけど、次は成功させたい」という方に2010年から多くのホームページ制作を行ってきた私たちがホームページ制作でやってはいけないことをご紹介します。
【企画準備】でやってはいけないこと

事例:目的が曖昧なまま制作を進め、大きな損失につながったケース
ある中小の製造業A社は、「そろそろホームページをリニューアルしよう」という社長の一声で制作をスタートさせました。しかし、社内で「何のためにリニューアルするのか」「誰に見てほしいのか」といった議論は一切されず、担当者も「とりあえず今風のデザインで」という要望を制作会社に伝えただけでした。
その結果、完成したホームページは確かに見た目は洗練されていましたが、製品情報は断片的で導線も不明瞭。問い合わせフォームまでたどり着けないユーザーが多く、アクセス数の割に成果(問い合わせ・資料請求)はほとんどありませんでした。
公開から半年後、結局「何の効果もない」として、サイトは放置状態に。担当者は「目的が曖昧だったことが最大のミスだった」と振り返っています。
このような事例に陥らないためにも、「企画準備」をしっかり行なってから、制作を依頼することが大切です。
成功の7割は、スタート前の準備で決まる
ホームページ制作において最初に取り組むべきは、「デザイン」や「制作会社探し」ではありません。制作の前段階である“企画準備”こそが、成功の土台となる重要なステップです。
しかし、多くの企業がこの段階を軽視し、「何となく作る」「とりあえず持っておきたい」という曖昧な理由でスタートしてしまいます。その結果、誰のためのホームページなのかが曖昧になり、成果が出ないまま終わってしまうのです。
この章では、よくある企画準備段階での“やってはいけないこと”を取り上げ、どのように回避すべきかを解説します。以下のような落とし穴に心当たりがある場合は、要注意です。
- 自社の課題やニーズを把握できていない
- 目的や目標数値を設定していない(例:問い合わせ数、資料請求数など)
- ユーザー像が曖昧で、誰に向けたサイトかわからない
また後半では、「目的が曖昧なまま制作を進めて失敗した企業の実例」もご紹介します。事前準備の重要性を、具体的な視点で確認していきましょう。
自社の課題や要望をきちんと“洗い出していない”
ホームページ制作に取りかかる前に、まずやるべきことは「自社が何に困っているのか」「何を達成したいのか」を整理することです。つまり、目的や課題の“洗い出し”が必要です。
しかし多くの場合、「とりあえず古くなったから作り直したい」「他社もリニューアルしているから」など、曖昧な動機でプロジェクトが始まってしまいます。これでは、制作会社に依頼する際に伝えるべきことも曖昧になり、結果として思い描いた効果が得られないサイトになってしまいます。
たとえば以下のような観点から、現状の課題を可視化しておくと、制作全体の軸がぶれにくくなります。
- 今のホームページで困っていること(例:更新しにくい、見づらい、スマホに対応していない)
- 解決したいビジネス上の課題(例:採用がうまくいかない、問い合わせが増えない)
- 今回の制作で得たい成果(例:採用応募数2倍、資料請求数アップ、ブランドイメージ改善)
この「洗い出し」がしっかりできていないと、制作の途中で方向性がぶれたり、制作会社との認識のズレが生じたりして、効果の出ないホームページになってしまいます。
目的や数値目標が曖昧なまま進めてしまう
ホームページは作ること自体が目的ではありません。ビジネス上の何かを達成する手段として存在します。にもかかわらず、「とりあえず新しくすればよくなるはず」といった抽象的なまま制作を始めてしまうケースがあります。
これでは、完成しても「何が成功なのか」が分からず、成果も検証できません。
たとえば、次のように目的と目標をセットで定めておくことが重要です。
- 採用強化 → 1年間でエントリー数を前年比150%に増加
- 見込み客の獲得 → 月間問い合わせ件数を10件→30件に
- ブランド価値向上 → 閲覧時間を平均1.5倍にする
こうした数値で測れるゴール(KPI)が明確になると、制作会社とのすり合わせもスムーズになりますし、デザインや構成の判断基準もブレにくくなります。
目的と数字のないプロジェクトは、ゴールのないマラソンのようなものです。何のために走っているのか分からず、途中で迷走してしまうことにもつながります。
「誰に向けたホームページなのか」が曖昧なまま進める
ホームページ制作では、「誰に見てもらいたいのか」がぼやけていると、すべてがズレてしまいます。
デザイン・導線・言葉遣い・コンテンツの内容──これらはすべて、想定しているユーザー像(ターゲット)に基づいて決めるべきものです。
しかし、実際の現場では、「とりあえず誰でも見てほしい」「ターゲットは20〜60代の男女」といった、広すぎて具体性のない設定で進めてしまうケースが多く見られます。これでは訴求ポイントも定まらず、結果として「成果につながらないホームページ」ができてしまいます。
そこで重要なのが、ペルソナ(架空の代表ユーザー像)を1人描いてみることです。
例:
- 年齢:38歳
- 職種:製造業の総務部長
- 課題:新卒採用の応募が年々減って困っている
- 関心:若手人材の定着率、社内制度、働き方
このように細かく人物像を設定することで、コンテンツの設計がぐっと具体的になります。結果として想定しているユーザーに届くホームページになるのです。
【会社選定】でやってはいけないこと
ホームページ制作の成功は、どの会社に依頼するかで大きく左右されます。しかし、ここでも多くの中小企業が「デザインがカッコよかったから」や「値段が安かったから」などと安易な理由で選んでしまい、後から後悔することが少なくありません。
ここでは、会社選びの際によくある失敗パターンと、その防ぎ方について解説します。

RFPがないと失敗する
ホームページ制作を会社に依頼する際、「とりあえず見積もりを取って比較すればいい」と思っていませんか? しかし、RFP(提案依頼書)がない状態で依頼すると、必要な情報が制作会社に伝わらず、見積もり内容や提案の質が大きくばらついてしまいます。
RFPとは、以下のような要素を整理・共有するためのドキュメントです。
- ホームページの目的(例:採用強化、問い合わせ増加)
- 必要なページ構成や機能
- 予算や希望納期
- 自社の事業・ターゲットの概要
RFPがあることで、制作会社は自社の要望に沿った提案をしやすくなり、比較検討もスムーズになります。
よくある失敗例
「3社に見積もりを出したけど、金額も内容もバラバラでよくわからない」
→これは、各社がバラバラな前提で提案しているからです。RFPがあれば、同じ条件で比較できるので、適正な判断が可能になります。
「初期費用無料」に潜む罠
「初期費用0円」「無料でホームページが作れます」——このような広告は一見すると魅力的に見えます。しかし、こうしたプランには注意が必要です。
初期費用が無料ということは、制作会社がどこかで利益を出す必要があるということ。その多くは、月額費用や解約時の制限に仕組まれています。
よくある落とし穴
- 月額費用が相場より高く、数年単位で見ると総額が高くなる
- デザインやコンテンツの自由度が低く、修正にも追加料金がかかる
- 解約するとホームページのデータが引き渡されず、すべて作り直しに
中小企業が陥りやすい理由
初期費用が出せないからと「無料プラン」を選び、結果的にコストが膨らむ・自由に運用できないといった問題に直面するケースが少なくありません。価格の一部だけを見るのではなく、「何が含まれていて、何が制限されるのか」を確認することが重要です。
自社に合わない会社を選ぶリスク
「実績が多い」「知名度が高い」だけで制作会社を選んでしまうのは危険です。大切なのは、自社の目的や業種、体制にフィットするかどうかです。
よくあるミスマッチの例
- BtoC向けに強い会社に、BtoBのホームページ制作を依頼して失敗
- 対応スピードを重視していたのに、レスポンスが遅い会社だった
- 社内で更新したかったが、専門知識が必要なCMSを提案された
「大手だから安心」は思い込み
大規模な実績がある会社でも、小規模企業をサポートする体制が整っていないこともあります。逆に、中小企業向けに特化している会社のほうが親身で柔軟に対応してくれるケースも多いです。
制作会社の選定では、価格や実績だけでなく、「自社の業種や体制、運用方針に合うか」という視点が欠かせません。
CMS選定の落とし穴
ホームページを運用していく上で、CMS(コンテンツ管理システム)の選定は非常に重要です。しかし、ここでよくあるのが「なんとなく聞いたことがあるから」「制作会社に言われるがままに」選んでしまう失敗です。
よくある失敗例
- 高機能なCMSを導入したが、社内で使いこなせず結局更新できない
- 外部に更新を依頼しなければならず、費用と時間がかかる
- 独自CMSでロックインされ、リニューアルや引き継ぎが困難に
自社にとっての「使いやすさ」が最優先
CMSは“多機能であること”が目的ではなく、「自社で更新しやすいこと」や「運用がスムーズにできること」が最大の目的です。そのため、以下のような点をチェックすることが大切です。
- 社内で扱える操作性か
- マニュアルやサポートがあるか
- 自由に外注・乗り換えできるか(オープンソースか)
CMSの選定は、制作会社任せにせず、自社の運用体制に合ったものを選ぶことが失敗しないポイントです。
実例とチェックリストで選定精度を高める
会社選定を誤ると、コストや労力の無駄になるだけでなく、ビジネスチャンスそのものを失うこともあります。ここでは、実際にあったケースと、後悔しないためのチェックリストを紹介します。
【実例】見積もりだけで選んだ結果…
ある企業では、複数の制作会社から見積もりを取り、「一番安かった」制作会社に依頼しました。しかし、納品されたのはテンプレートに文章をはめ込んだだけのサイト。更新もしづらく、問い合わせも増えませんでした。結局、1年以内に別の会社に再依頼することに。初期コストを抑えたつもりが、二重のコストと時間を失ってしまいました。
チェックリスト:制作会社選びで見るべき7つのポイント
- 自社と似た業界の実績があるか
- RFP(提案依頼書)に丁寧に応えてくれるか
- 目的や課題を理解し、提案に反映しているか
- デザインと構成の柔軟性はあるか
- 制作後のサポートや運用体制は明確か
- CMSの選定理由や運用方法を説明できるか
- 契約内容(著作権・更新費用・納品形式など)が明示されているか
このように、制作会社を価格だけで判断せず、複合的な視点から見極めることが成功の鍵です。
参考:ホームページ制作会社の選び方:失敗しないための5つのポイント
よくある質問と誤解:ホームページ制作にまつわる思い込み
ホームページ制作について、初めて取り組む企業の多くは、誤解や思い込みから準備不足や判断ミスをしてしまいがちです。ここでは、特によくある質問や誤解を取り上げ、ご紹介します。
Q1. ホームページを作れば、自然と集客できるのでは?
A:残念ながら、ただ作っただけでは成果は出ません。
ホームページは「作った時点がスタート」です。ユーザーのニーズに合ったコンテンツ(コラムなど)、SEO対策、SNSや広告との連携など、適切な運用があってはじめて効果を発揮します。
Q2. 自分たちの業界はネット集客に向いていないのでは?
A:どの業界でも、ホームページは「信頼の入口」として機能します。
直接的な問い合わせが少ない業界でも、「会社概要」「採用」「取引先向けの情報提供」などでホームページは重要な役割を果たしています。目的を明確にすれば、どの業種でも活用可能です。
Q3. スマホ対応って必要?
A:スマホ閲覧が主流の今、対応は必須です。
業種やターゲット層によっては、アクセスの8割以上がスマホというケースもあります。PC表示しか考慮していない設計では、ユーザーが離脱するリスクが高まります。
Q4. テンプレートで安く済ませれば十分?
A:目的によりますが、テンプレートでは差別化が難しい場合もあります。
テンプレートでも情報がしっかり整理されていれば最低限の効果は期待できますが、競合が多い業界では独自性を出す工夫が欠かせません。将来的な拡張性やブランディングの視点からも慎重に選びましょう。
まとめ:成功のカギは「準備と選定」
ホームページ制作の成否は、完成後のデザインや機能ではなく、その前段階である「準備」と「会社選定」に大きく左右されます。つまり、公開してからの後悔を防ぐには、「始める前にどれだけ考え抜いたか」が問われるのです。
企画準備で明確にしておくべきは、「誰に」「何を」「どうやって伝えるのか」。そして、その想いを正しく形にできる会社を選ぶ目利きが必要です。費用や納期だけで判断せず、「自社の目的に合ったパートナーか?」という視点を持つことが重要です。
今回紹介した「やってはいけないこと」を避け、正しいステップで進めることで、単なる“情報掲載”にとどまらない、「ビジネスに貢献するホームページ」を実現できます。

- 監修者
- 田邉 文章 Fumiaki Tanabe
