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ECサイト運営に必要なスキルと効率よくアクセスを稼ぐ方法
お店の店長がECサイトの担当になる事は、しばしば聞く話です。環境も一変し、不安要素も多くありますが、実は今まで以上に、お店やブランドを賑わすチャンスでもあります。場合によっては、会社全体の売上の半分をECだけで獲得することも可能なのです。
この記事では、ECサイトの基本的な運営に必要なスキルを紹介と、ECサイトへ集客するための考え方を、実店舗の運営経験がある人にわかりやすくご紹介します。
目次
日本のECサイトの現在
日本でのEC化はまだまだこれから成長していく分野です。経済産業省の発表によると、2019年の日本のEC化率は6.76%と発表されています。それに対して、同年の世界のEC化率は14.1%、また、2023年までには22%になる見込みから日本のECにはこれからまだまだ伸び代があると考えられます。
経済産業省:電子商取引に関する市場調査
https://www.meti.go.jp/press/2020/07/20200722003/20200722003-1.pdf
ECの市場規模としては、衣類、服飾雑貨(19,100億円)、生活家電やAV機器、PC周辺機(18,239億円)、食品、飲料、酒類(18,233億円)次いで生活雑貨や書籍、化粧品など、EC市場全体の規模としては100,515億円と発表されています。
ECサイトの運営とは?(実際の店舗と異なる2つの点)
ECサイトの担当になったら、あなたはEC店舗の「店長」です。実店舗と異なるのは、お客さん(以降ユーザーと呼びます)は店舗に足を運んできたり、店の前を通りかかったりする人たちではなく、パソコンやスマホからあなたのECサイトへアクセスしてくる人、全てがユーザーになるということです。
もう一点異なる点があります。それは接客や店舗への呼び込みを直接行うことができません。その代わりに、SNSやブログ、YouTubeなどを利用してEC店のファンを増やしてフォロワーを獲得していく必要があります。
直接的なアプローチをかけることができないという点では、実店舗に比べると大きなデメリットですが、その反面、ユーザーになれる人たちの幅が非常に広いことを認識しておきましょう。考え方にもよりますが、ECサイトの運営自体は実店舗の運営と大きく違いは無いようにも考えることができます。
ECサイト運用の主な業務
ECサイト運用の主な業務として、「フロントエンド業務」と「バックエンド業務」があります。以下で詳しく説明しますが、大まかにはフロントエンドはアパレルを例にすると、「商品ラインナップ」「POPや販促物のレイアウト」「マネキンのコーディネート」などお店を作る部分になります。また、SNS運用などもこの部分に含まれます。
そして、「バックエンド業務」は「商品の入荷」「在庫管理」「ラッピング」「お客様対応(返品、交換など)」など、お店を運営する上での仕込み的な要素が中心です。
それではそれぞれどういった内容か見てみましょう。
フロントエンドの業務
商品企画
自分たちのECサイトで何を売るかを検討します。すでに店舗展開していて、製品が揃っている企業であれば、自社の製品を販売するのに加え、「WEB限定商品」や「WEB限定カラー」など、実店舗にはない企画をすることもできます。こうすることで実店舗と差別化することができ、自社のECショップのファンを獲得することもできます。
ECサイトならではの特色を生かした戦略を立てることがここでは重要となります。
商品撮影
ECサイトを訪れるユーザーは実際の商品を手に取ることができません。したがって、商品写真はユーザーに商品の魅力を伝える1番のポイントです。通常の商品が撮影出来たら、商品の利用シーンも準備できるとより効果的です。ユーザーは実際に使っているイメージショットがあることで、利用するイメージしやすくなります。
撮影のボリュームがそこまで無いうちはスタジオやロジスティックを利用しするのは難しいかと思いますが、色などに特徴がある商品を多く取り扱っているECサイトを運用する場合は、プロの撮影を利用することをお勧めします。
商品展開の検討
商品の準備ができたら、ECサイトでどのように商品を見せていくか検討しましょう。ECサイトの仕様にもよりますが、TOPページはECサイトを訪れるユーザーには「入口」となり、お店の中の一等地です。自社のECサイトの中で一番露出が高いので、ここに商品を露出していくことは売り上げに一番直結します。
お店づくりをする際には、フェイス展開やお客さんの入ってくる導線を考えた商品展開をするのと同じで、ECサイトでもTOPページにある商品を見た後にキャンペーンや新着を見てもらって、お店の奥(ECサイトの下の方)にはセール品が展開している…とユーザーの動きを考えながら商品展開を検討することができます。
時々、ブランドの世界観をお伝えするために、ECサイトのTOPページのスライドが「ブランドイメージの画像ばかり」になったままのショップを見ることがあります。リリースしてある程度の期間が経過したら、戦略的に変えていきましょう。
集客のための販促活動
SNSの活用
ECサイトを運用する場合、SNSを活用するのは非常に効果的です。例えばInstagramはブランドの世界観を表現するためにとても最適で、Instagramの投稿を見ることで、ブランドイメージをユーザーに伝えることができます。また、フォローされることでどれくらいのファンが集まっているか実数値で見ることができるため、限定商品を作る際の指標にも役立ちます。
チャット機能や動画配信などもできるので、ECサイトで特に女性をターゲットとした商品を取り扱う場合は、合わせて準備しておくことおをお勧めします。
YouTubeの活用
最近ではブランドでYouTubeチャンネルを開設して動画配信をすることも増えてきています。内容としては商品紹介に特化したものから、会社の社長自らが独自のノウハウや有益な情報を配信するなど様々です。競合店やブランドがある場合は、どういった内容を配信しているか調べてみてもいいかもしれません。
こちらもどれくらい動画が再生されたか、フォローされているか見ることができます。「動画編集できないよ…」という人はライブ配信などで質問に答えたり、商品の使った感想をリアルタイムで伝えてみてはどうでしょうか。
ユーザーが実際の商品を手に取ることができない分、写真や商品説明などでは伝えきれない、おすすめポイントや商人の魅力を伝えることができます。
バックエンドの業務
商品登録
新しくECサイトで販売するための商品を展開するための準備です。自分のECサイトに入ってくる新しい商品は、実物をお店に並べるわけでは無いので、「入荷作業」をしないとECサイト上で販売することができません。
また、在庫はECサイトのシステム上で管理しているので、既に販売している商品で在庫が追加になる場合は、追加する在庫分を合計しないといけません。この点はECサイトのシステムを少し勉強し、尚且つエクセルの知識があると楽にできるので、システマチックにできるフローを検討しましょう。
在庫管理
売れ筋商品在庫の確保
通常の店舗も同様ですが、ECでの在庫管理は通常の店舗よりも厳重に管理する必要があります。接客ができないため、SNSなどでおすすめしてきた売れ筋商品の在庫がきれてしまうと、その時点で売り上げが止まってしまいかなりの痛手を負ってしまいます。商品の販売動向を予測しながら、場合によってはMDと相談し、追加発注なども検討しましょう。
万が一、在庫が切れてしまっても、入荷の予定がある場合は、「予約注文」などで対応できるのはECサイトならではの強みです。
過剰在庫に注意!
ECサイトではバックルームなどがではなく、自社倉庫やある程度の規模であればロジスティックで在庫を管理するため、過剰に在庫を持っている感覚になりにくく、過剰に在庫を持ってしまう傾向があります。ECサイトを運用する際には実店舗よりも在庫を多く持つ特性はありますが、商品点数や原価合計額など一定の指標を設けてチェックしておきましょう。
あまりにも過剰に持ってしまうのは自社商品の機会ロスにもなってしまうので、動向不良の在庫を動かすことも忘れずに行いましょう。
出荷業務
ロジスティックを利用しない場合の小規模ECサイトであれば、ECでの注文を自分たちで発送します。EC唯一のユーザーとの接点部分でもあるので、実は結構慎重に行う必要がある業務です。注文内容と異なる商品を送ってしまうとユーザーの信頼を失ってしまうだけでなく、時間、費用(送料)在庫戻しの作業など、多くのロスが発生します。
通常業務、集荷時間までのタイムリミットなど、時間制限が厳しい中での作業で大変ですが、間違いのないように丁寧に対応しましょう。そして、ある程度の規模になったら(よく言われるのは50〜100件/日)惜しみなくロジスティクを利用することを兼用し、よりECサイトで売上を上げる方法を検討する時間を確保しましょう。
カスタマーサポート(CS)
商品に関してのお問い合わせやユーザーからのフィードバックなど、メールや電話で対応することもあります。ECサイトの規模が大きくなると、CSが1つの部署となっている場合もあります。
問い合わせの多くは、自社のECサイトを利用した上でのお問い合わせなので、自社のECサイトの運用の改善点の発見や、問題点に気づくための検討材料にもなります。お問い合わせがあった際には、内容をエクセルなどにまとめて管理しましょう。
ECサイトは、達成する目標(KPI)を決めて運用しよう
まずはKPIについて知っておく必要があります。
KPIとは「Key Performance Indicator」の略で、「重要業績評価指標」と言います。会社全体の大きな目標(例えば今期の年間売上目標など)を達成するためには、それを達成するまでのプロセスが必要です。KPIはそのプロセスを具体的にわかりやすくしたものです。
例えば、「キャンペーン期間中、週売りを前週の140%を目指す!」というKPIを設定したとしましょう。KPIを決める際に重要なのは「いつまでに」「どれくらい」を明確にすることです。
そして、次にこの「いつまでに」「どれくらい」を具体的にどのように達成するのかを検討します。漠然と「集客してアクセスを稼ぐ」や「セット売りで単価アップ」では具体的にどれくらい見込めるかわかりません。どの程度「集客」すればいいかも検討がつきませんね。
明確にするためにはまず、ECサイトの売り上げの構成について知っておきましょう。
ECサイトの売上構成を知る
ECサイトの売上は一般的には以下のような構成で成り立っています。
例えば月間訪問者数が50,000人の雑貨のECサイトがあったとしましょう。このお店の月の購入率が0.5%、注文の平均単価が2,000円であれば、月刊の売上を以下のように計算できます。
50,000人×0.5%×2,000円=500,000円
このECサイトは月間500,000円を売り上げていることになります。ここからさらに売上を上げるために考えられる方法としては以下の3つが考えられます。
- ECサイトへ訪問する人数を増やす
- CV率を上げる(CV率)
- 注文平均単価を上げる
ECサイト運用では、この3つをそれぞれどのようにして改善していくかで、目標達成に近づくことができます。それではもう少し詳しくみていきましょう。
ECサイトへ訪問する人数を増やす
実店舗でいう店舗への「呼び込み」です。ECサイトの場合、先ほども少し触れていますが、SNSやYouTubeなどでファンを増やして、ユーザーにECサイトに来てもらいます。フォロワーが増えれば、施策を行った際の反響はそのぶん大きくなり、効果が期待できます。
しかし、大変な点もあります。ユーザーに興味を持ってもらうには、定期的にコンテンツを配信し続ける必要があるため、地道な積み重ねが必要です。しかもその内容がユーザーにとって面白かったり、有益な情報でないといけません。
SNS以外にも、自社メディアの運用、変わった切り口では漫画配信という方法もあります。
購入率を上げる(CV率)
お店に訪れたユーザー数に対し、実際に商品を購入してくれた人の数です。ECサイトの購入率は、店舗に比べると非常に低く見えますが、ここも改善することで大きく変化します。
方法はひとつではありませんが、例えばユーザーの導線について考えるとき、売りたい商品、人気商品は見つけやすいところに展開するのが基本ですよね。ECサイトではユーザーがそれらの商品に到達できているのか、しっかりと分析してみましょう。たどり着けていない場合には、展開する場所を変えることで改善されます。
もしAPIなどを使っていれば、その管理画面でアクセス解析することもできるとおもいますが、アクセス解析がない場合、GA(Googleアナリティクス)などを実装してみてみましょう。
GoogleAnalytics
https://www.google.com › analytics › web
お店のように接客して商品提案ができない分、商品の見せ方は重要になってきます。「なぜ売れるのか」「なぜ売れないのか」「売れるためにはどこで見せればいいのか」をECサイト内をもう一度見直してみることで改善できます。
注文平均単価を上げる
一人のユーザーが、1回の買い物で何点くらいの商品を買ってくれるでしょうか。もし、1点買いのお客さんが多いようであれば、「複数買ってもらうにはどうしたらいいか」と考えることができます。接客はできないけれど、提案をすることはできます。
洋服であれば、トップスが単品で売れる傾向にあれば、それにあったコーディネートをSNSで配信してみたり、セットでお得に購入できるフェアや「○○○円以上送料無料!」キャンペーンをしてみたりすることで効果を期待できるかもしれません。
先ほど設定したKPI「キャンペーン期間中、週売りを前週の140%を目指す!」を達成するには、以上の3つの中では「購入率をあげる」「注文平均単価を上げる」の2つからできる対策を考えるのが達成に近づけそうですね。
アフターフォローの大切さ
購入後のユーザーへの対応はしっかりと対応することが大切です。購入してくれたユーザーはそのアフターフォロー次第ではブランドのファンになり続けてくれる可能性があります。
商品の返品、交換に対する対応
ミスや勘違いで、ユーザーは注文を間違えてしまうこともあります。誰にでも間違いはありますし、サイズ違いによる返品交換は、実際にユーザーが使用してみるまでわからないこともあります。会社の運用方針もありますが、返品や交換は柔軟に対応できるようなECサイト運用も、ファンを増やすためのポイントだということを知っておきましょう。
既存ユーザーを大切にしよう
お店のスタッフさんとの会話で、自分が持っているものに対して「実は私もそれ使っているんですよ」と言われると、少し嬉しい気持ちになりませんか?SNS運用の中でも、同様にユーザーを嬉しい気持ちにすることができます。お店としては新しい商品紹介をたくさんして売上をあげたい気持ちもありますが、顔が見えないだけで、ユーザーは店舗に足を運んできてくれたお客さんと同じです。どういったSNS運用がユーザーに喜ばれるか、どういった人たちがECサイトのファンてあり続けてくれるかを再度検討してみてください。
ECサイトをこれから構築するなら(Shopify がおすすめ)
現在、ECサイトまだ持っておらず、これから新しく作って運用しようと考えている人には、Shopify がおすすめです。ここではその理由とShopifyの魅力をお伝えします。
どうしてShopify なの?
まずは月額費用の安さです。月額29$(約3000円)で運用できるということです。最近では無料で開設できるECサイトももちろんあり、ランニングコストをかけずにすることもできます。しかし、以下に上げるメリットを考慮すると、Shopifyがおすすめな理由がわると思います。
世界各国でシェアされている
Shopifyは世界175カ国以上、100万サイト以上が既に開設されています。2004年以降、これらのノウハウが蓄積されて作られているサービスなので、非常に精度の高いECサイトです。
決済方法が豊富
これはユーザーにとって大きなメリットです。世界中で使われているので、その決済の種類は100種類以上です。PayPayなど電子マネー決済も利用することができるのはShopifyを選ぶ理由になります。
自分でお店をレイアウトできる
ECサイトでしっかりと売上を作っていくには、ECサイト内での商品の見せ方、つまりお店作りも重要になります。Shopifyはその点がとても考慮されて作られているプラットフォームなため、「メインビジュアルの打ち出し」「商品レイアウトの変更」「キャンペーン実施」など誰にでも簡単にできるようになっています。
さらに詳しく知りたい方はこちらの記事もご覧ください。
Shopify とは?特徴や使い方、他のプラットフォームとの比較など徹底的に解説します
Shopifyはこちら
https://www.shopify.jp/
まとめ
ECサイト運営ではフロントエンド業務とバックエンド業務の大きく分けて2つの業務があります。それぞれの業務にはポイントがあり、そのポイントを抑えることで自分のECサイトのアクセスを上げることが可能です。
また、KPIを設定するにあたり、ECサイトの売上構成「ユーザー数」「購入率」「注文平均単価」と、それぞれの改善方法をご紹介しました。
KPIを設定したら、それらを達成するために、いくつか例としてご紹介しました。これ以外にも様々考えることができるので、ECサイトに適した方法を見つけてみてください。